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電流測定(3)

アナログエンジニア先生の本を読み物として読んでいてふと気づいた方法。今まで見たことないけど、新たな方法。カレントミラーとダイオードの基本式を利用。汎用性は低そうだし、キャリブレーション的なやつも必要だと思う。が、まずは本当に動くのかどうか、、、

ダイオードの基本式は

\[ I=I_s e^{\left(\frac{V}{m V_T}-1 \right)} \tag{1} \]

だそうです。大体の本に書いてあります。アナログエンジニア先生の本では-1が無いですが、順電圧が大きい場合には-1が無視できるってことで省略しているのかもしれません。

$ I_S $は飽和電流と呼ばれる正の数で、逆方向に電圧をかけたときの電流らしい。ダイオードの設計で決まるっぽい。
$m$はエミッション係数とか言われたりするらしい。通常1~2の値らしい。
$V_T$は熱電圧と言われるもので、 \[ V_T=\frac{kT}{q} \tag{2} \] で、
kはボルツマン定数
Tは絶対温度
qは素電荷(電気素量)

まぁ、能書きはこれくらいで、式(1)を見ると、IはVの対数になっているから使えるんじゃね?っていう発想です。

で、回路はこう。計測するのはVF2です。DUT(今回は電流ジェネレータ)にかかる電圧はVF1です。AM1にはIS1と同じ値が現れるはずです。

電流IS1をスイープして計算した結果がこう。

電流が多いときに電圧が鈍くなるようにできてる!

で、電流を対数にするとこう。

10nAでも測定可能な電圧が出ている。

で、もの(今回は電流ジェネレータ)にかかる電圧は10nAで3.2V、10mAで2.8V。電圧降下が0.4Vくらいなので、検出抵抗だと40Ωくらいに相当する、、、いけてるじゃんね。

さて、難点は、、、

・供給する電圧はカレントミラーのトランジスタの$V_{BE}$の分高くしないといけないのでちょっと怖い
・供給する電圧は実際にDUTにかかる電圧を見ながら調整する必要がある(電池での評価には向いていない)
・測定した電圧を電流値に変換するのがめんどくさいし、その変換式も前もって作成しておかないといけない
・ダイオードの温度補償をしていないので、温度によって結果が変わる
・トランジスタには同じ電圧を入れる必要があるので、電圧源からはDUTに必要な分の倍の電流が流れる(電池での評価には向いてない)

ってとこですかね。たしかにめんどい。

あとは、やっている人がいないってことと、シミュレーションはあてにならないこともあるってことで。

いつか試してみようとは思う。、、、心が清く穏やかになったら、、、そんな日が来たら、、、来る気がしないTT